√2の話の本歌取り 〜 プログラマのための数学勉強会第6回より

発端

第6回 プログラマのための数学勉強会 (とぎゃったは 『第6回 プログラマのための数学勉強会』のまとめ #maths4pg) という楽しそうな会が行われていました. その中のLT発表者が

ということをつぶやいていたので,「じゃあ自分なりの√2が導入できることのすごさを説明したい」と思い立って, この記事を書いています. 決して勉強会に参加できなくて羨しかったわけではありません!!

@taketo1024さんの発表資料はこちらです. 面白い内容ですので, ぜひ一度目を通しておいてください.

有理数しか知らない人に√2を説明する

LTの本歌取りということで, いったん@taketo1024さんの意図は敢えて見ないことにして, 自分が√2を説明するとしたらどうなるかを書いていこうと思います.

まず説明する相手は「数と言えば有理数で全てだ」と信じている人 (名前はQさん) とします. 現代ではそういう考えは少数派だと思いますが, ある時代では「数と言えば有理数」というのが常識でした. まぁ今回は「√2という有理数でない数もあるんだ」と主張しても, 相手を怒らせて殺されるようなことは無いとします. 詳しくは「ピタゴラス教団とヒッパソス」の話を調べてみてください.

私「ひとまず

root2

となる数があったとしましょう. 定義はこの式だけで計算は有理数と同じようにします. これの名前を√2としましょう.」

Qさん「√2なんて無いよ. ほら√2が数 (有理数) じゃないことが証明できるよ.」

私「まぁまぁ, すぐには信じられないかもしれないけど, √2で計算するとどうなるか眺めていってみようよ. 面白いことが見られるよ!」

私「じゃあ, まず足し算は

addition

みたいな感じで, 引き算は

subtraction

みたいな感じです.」

Qさん「みたいな感じ, って適当だなぁ. ところでその3とxを並べたものは何ですか?」

私「あぁ, これは3とxを掛け算したものです. もうちょっと複雑な掛け算のパターンだと

multiplication

みたいになります. この計算で初めて

root2

ってルールを使ってます.」

Qさん「うーん, ここまではまぁ分かるけど割り算は無理じゃないですか?」

私「実はなんと上手くできるんですよ. 例えば,

division

みたいに計算できます. これで加減乗除の全てが揃いました. これだけできれば数と認めてもいいでしょう?」

Qさん「むむむ. でも具体的にどんな数なのか全く分かってないんじゃ?」

私「graphのグラフとx軸が交わるところが√2です.」

Qさん「それじゃ, 該当する場所が2箇所ありませんか?」

私「ぐっ, そ, その2つはroot2からだけでは区別が付かないので, 正の方を√2, 負の方を-√2とします. 具体的な値の計算には, 二分法, ニュートン法, 連分数展開などがあります.」

Qさん「理論的には?」

私「さっきまで話していた方法は代数拡大を使うもので@taketo1024さんのLTはこれを使ってます. 他にはデデキント切断もあります.」

LTの資料だけでは詳しい部分が分からないかもしれないので, @taketo1024さんのこちらのシリーズを読んでください.

  1. 数とは何か?
  2. 群・環・体の定義
  3. 有理数を作ってみよう
  4. 時計の世界の「環」
  5. 小さな「体」を作ろう
  6. 多項式は整数によく似てる
  7. 代数拡大で数を作ろう!
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